ある夜、そろそろ寝ようと思い、トイレのドアを開け明かりを点けますと
11時の方向から黒い物が壁をつたって下りてくるのが視界に入りました。
黒いものに焦点を合わせますと、見たことも無い大きさの、真っ黒な、アレが!!!!!!
すぐさまトイレから飛び出し、様子を伺うと、角に置いてあった漫画(11人いる!by萩尾望都)の影に
隠れていやがる。
どうしたものか。
取りあえず一旦トイレのドアをそっと閉めてみる。
すぐにもう一度ドアを開けてみると、やっぱり「11人いる!」の影にいる。
“網戸に虫こない”スプレーが確か殺虫効果があった筈なので急いで持ってくるも
黒すぎて、大きすぎて、気持ち悪くて、怖くて、スプレーすることも出来ず固まってしまう。
そうして何十分経っただろう。
ゴキブリだと思うから怖いんだ、自分の何百分の一の只の有機物ってだけだ。
何度も言い聞かせて少し目が慣れてきた所で意を決して“網戸に虫こない”を噴射してみる。
死なない!
全然死なない!
それどころか漫画の後ろに完全に隠れてしまった!
ままよ!
「11人いる!」もろとも殺虫剤まみれにしてくれるわ! と、さらに“網戸に虫こない”を噴射するが
次の瞬間、アレが床を這ってこちらに向かって来やがった!!!!
素早くトイレから飛び出し、再度ドアを閉めた。
耳を澄ますと、微かに「・・・・カサコソ・・・」と音が聞こえる。
人ん家のトイレで何カサコソしてやがる・・・・!!!!!
少しは弱っているのか?それとも?
暫くして音が無くなったので細心の注意を払ってドアを開けた(隙間から飛び出されては困る為)
幸い至近距離には居らず、適度な距離感があったので一気に勝負を着けに行った。
食らえ!!!!
ぶっしゅー!!!!!
アレは少しフラついている様に見えた。
そうして便器の裏側へ隠れていった。
いける!
更に便器の裏側へ噴射してやると、最後の力を振り絞って表へ出てきた。
慌てて再々度ドアを閉めた。
暫くカサコソ音が聞こえていたが、その内静かになった。
奴は弱っているように見えた。
もしかして、殺ったかも知れない。
微かな期待を胸に、また細心の注意を払ってドアを開けると
すぐそこにひっくり返って、手足や触覚を動かし瀕死の黒い奴がいた。
まだ、動いている。
幸いここはトイレだ。ペーパーに包んで流してしまえば完璧だ。
だが、動いていてはペーパー越しでも触れない!
もう一度、“網戸に虫こない”を吹きかけるが、まだ死なない。
そうだ!
キッチンから食器洗剤を持ってきて、上から垂らしてみた。
そうしてようやく、完全に死んだ様だった。
ここまでで、1時間40分程度経過していた。
その後、奴の侵入経路を考えた。
トイレの中は窓があるものの、網目の細かいはめ込みの網戸がついていて
ここからは体の薄いあいつらも入って来れない。
と、すると換気扇か?
換気扇が回っていなければ、入って来れそうな隙間がある。
でも、このアパートに越してきて2年間、一度もこんなこと無かったのに。新築なのに。
取りあえず換気扇にはフィルターを取り付けた。
これで安心だけど、まだトイレに入る時にはアレが居ないか確認してしまう・・・・。
怖いよう。。。。。。
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